2023年上期コスメ市場動向～化粧品OEM・ODMは新時代へ～
2023-08-25

2023年上半期はコロナ禍のマスク生活から抜け一気にメイクアップの需要が回復した。メイクの需要が下がりスキンケアが活況の中コロナ禍が明けたことによりメイクの需要はアイメイクのみならず、リップやファンデーションとさらに拡大した。

8月10日には中国政府が日本への団体旅行を解禁。インバウンド需要も回復する事が予想されており、各社OEMメーカーも先行投資を積極的に行い新工場増設やM＆Aなどが活況だ。

さまざまな物事がものすごいスピードで目まぐるしく動いている化粧品業界に新時代が来たと言える。

①新工場建設や増設を発表した主な化粧品OEM企業

・日本コルマー　関東で新工場を建設し生産増強
・ホシケミカルズ　新工場竣工でベースメークを強化
・東色ピグメント　矢板新工場に新棟が竣工
・ロート製薬　上野テクノセンターの新工場棟が稼働開始
・ミリオナ化粧品　工場新設で生産規模の拡大を目指す

化粧品OEM／ODM国内最大手の日本コルマーは2023年3月期、メークアップの需要回復に加え、複数のブランドメーカーによる高価格帯のシャンプーやトリートメントなどの受注数量が想定を大きく上回り、売上高は前期比12.8％増の556億円で着地した。2024年3月期は、メーク需要の回復持続やクライアント企業のリニューアル・新製品展開の活発化を追い風に売上高2.5％増の570億円、20期連続増収を目指す。

2023年は円安という事もあり海外からの発注も多く、各社増収増益の着地を予想しているOEM企業が多い。
化粧品メーカーの国内市場は少子化が進み人口減少が予想されるが、化粧品市場での販売競争はさらに激化する予想だ。
矢野経済研究所の調べによると、化粧品メーカーの異業種参入が増え続けている、IT企業、マーケティング会社、コンサルといったプロダクトを持たなかった企業が自社のプロダクトを開発し販売する、D2Cブランドを立ち上げる企業が増えた。
この同行は日本のみならず海外企業も積極的だ。LVMH系ファンドが日本のコスメブランドを買収したりと日本市場に参入してきている。

②原材料高等、輸送コスト高騰、値上げ

コロナによる物流の停滞、ウクライナ戦争による資源の高騰、円安、といった様々な要因によって30年間、物価や給料が上がらなかった日本においても物価上昇の波が押し寄せています。

各社　化粧品メーカー、原料メーカーの値上げ事情を見ていきたいと思います。

帝国データバンク、デパコス4割が2023年値上げ

上記のようにデパコスといわれるメーカーの値上げが相次いで行われている。その背景には原料価格の高騰があるといえる。

そんななか、日本のメーカーのいわいる店頭コスメ（ドラッグストアなど）といわれるジャンルでは値上げができないと嘆く声も聞かれます。韓国コスメ、中国コスメの参入により、安くていいものが並んでしまったからです。日本メーカー各社が今後問われるのは【値上げ】した際に顧客離れを起こさないように商品の便益をキープできるかが焦点となりそうです。
ブランド価値とは「便益ー値段」の差分です。値上げする際はその差分をリニューアルや他の施策で補う必要もあるかと思います。

③ファブレスOEM・ODMの実態

ファブレスOEMとは工場を持たずに化粧品やサプリメントの企画・開発を行う会社のことを指します。弊社もファブレスOEM会社にあたります。
工場を持たないことが一見、お客様からするとデメリットに感じてしまうこともあるかと思いますが、メーカーのブランドマネージャーは化粧品を開発しようとすると多くの壁にぶち当たることがあります。

①現代のトレンド分析
②多くの化粧品がある中でのアイデアだし
③パッケージデザイン
④容器や化粧箱の手配
⑤原料選定、処方設計
⑥化粧品製造工場とのやりとり
⑦生産管理、品質管理
⑧物流管理、保管倉庫の選定
⑨HP、LPデザイン
⑩販売していく営業活動

ざっと上げただけでもメーカーのブランドマネージャーのタスクは多岐にわたります。こういったタスクを少しでも軽減できる仕組みを構築できるよう弊社では日々化粧品市場の構造を改革できないかと邁進しております。

その一つに化粧品容器の調達に弊社では力を入れています。メーカーの大きな悩みの一つに商品開発のリードタイムがあげられます。
新商品の発売までにかかる時間は、品質やデザインなど妥協できない点が多くあることから1年や2年かかることも多いです。しかし、商品が売れはじめ増産のタイミングで、追加注文をすると容器のリードタイムが4か月先という事は今の業界ではあたりまえになっています。

そんな当たり前にイノベーションを起こすべく弊社では容器生産サプライヤーと手を組み、調達リードタイム1.5～2か月を実現しております。
これもファブレスOEM・ODMだからこその強みだと考えます。